上杉謙信・景勝・直江兼続 軍神の系譜  坂上天陽 著

ここのところほぼ毎日、上杉・直江本の新刊お知らせが届きます。
この乱発ぶりは雨後の筍どころじゃないです。
こんなになると、むしろどうでもよくなるものなんですねー。
私、全然チェック入れてません。(苦笑
大河放映開始まであと28日ということで、書店の直江コーナーも拡大中。

ってことで、思ったより時間がかかってしまいましたが、読み終えました。

上杉謙信・景勝・直江兼続 軍神の系譜 (学研M文庫)上杉謙信・景勝・直江兼続 軍神の系譜 (学研M文庫)
(2008/08/12)
坂上 天陽

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その半生を戦いに費やし「聖将」を演じ続けた孤高の武将、上杉謙信。
宿敵である北条家から養子となり、家中での自分の存在意義に悩む上杉景虎。
養父の偉大なる力を認めつつも、「義将」の姿を偽善とし否定する上杉景勝。  (裏表紙より)



上杉謙信、景勝、景虎。
それぞれの心の葛藤を、手取川の戦いと御館の乱を通して描いています。
といっても、メインは御館の乱であって、手取川はその伏線。
その御館の乱は、さすがシミュレーションを得意とする作家さんの作品で、
史実をうまく組み合わせた非常に読み応えある展開となっていました。
もしかしたら本当にこんな風に戦局は動いていたのかもしれない、と思わされるほどで、
これはこれで1つの説として非常に面白いと思いました。
にもかかわらず、なかなか読み終わらなかったのは、
ずっと、「主人公……誰?」な状態だったせいだと思われます。
手取川から始まるので、まずは謙信中心なのかと思いきや、
謙信の養子であり、でも越後の人質的扱いな景虎の苦悩が浮き彫りになり、
じゃあ景虎が主人公なのかなと思いきや、なにやら景勝にも比重がかかっており、
じゃあ景虎・景勝のW主人公なのかなと思えば、
山本寺定長とか直江信綱とか毛利秀広とか、一筋縄ではいかない家臣たちが出張ってくるし、
ここと視点が定まらなくて、いまひとつ乗り切れないものがありました。
文庫本1冊の分量でしかないのに、みんなを大事に描きすぎていたからかもしれないです。
でもあとがきに「本作の主役をひとり挙げよと言われれば、私は景勝を挙げます」とあったので、
作家さんとしても、主役を絞ら(or絞りきれ)なかったということなのでしょうか。

この作品のポイントは景虎と景勝の義兄弟の関係、これ一言に尽きます。
なんちゅうか、もう両想いみたいな感じ?(爆
二人がなぜ泥沼の家督争いを繰り広げることになったのか、
多分ここで描かれたことが一番理想の形だろうと思われます。
その点では、景虎スキーさんも景勝スキーさんも満足の一冊かと。
カゲカツィストとしては、「景勝公変装するの図」がめちゃめちゃ萌えました。(え
あんなことしそうになかったから、不意を突かれて沈没。(苦笑

タイトルが「上杉謙信・景勝・直江兼続 軍神の系譜」となっておりますけれども、
兼続は……何かしたっけ?くらいな扱いでした。
「大河に便乗しちゃったのかな?」と思わせる必要もない作品だったと思うんですけどね~。

10 Comments

レッド  

この本

書店でみかけて、買おうか買うまいか迷っていたのですが

>なんちゅうか、もう両想いみたいな感じ?

ならば買う!(笑)。


ただいま星亮一氏の『上杉景勝』(PHP文庫)を読んでおります。
趣味の読書の場合、なるべく校正者という職業目線を機動しないようにしてるんですが、これはさすがに景勝公の人物描写に整合性がなさすぎて……。
「ていうか星先生、前の前の頁じゃ真逆の事書いてますがっ!?」
みたいな感じでつっこみどころ満載。
景勝公がなんだかとんでもなく矛盾だらけの筋の通らない人物のようになってしまっていました。
星さんは会津関係のご著書を読んだ事あるんですが、なんつうか、フィクション向きじゃないというか、物語を語るべき人じゃないんだな、と感じました。

このあとはこないだ河出文庫から出た兼続のアンソロを読む予定です。


やはり私は北村さんの『天地人』出演が決まってから上杉系のフィクションに手を出した関係上、どうしたって

上杉景勝=北村一輝

にならざるを得ないという、みいはあかつ病的な読書になってしまいます。
いずれブログで、「北村一輝ファンが読む上杉景勝」という、大河イヤーならではの浮かれた切り口で読書感想文なんか書こうと目論んでいます。
これはというご本がありましたら、またご紹介ください。

2008/12/08 (Mon) 00:41 | EDIT | REPLY |   

元康  

書店店頭

仰るように、上杉関連本がワラワラと繁殖してますね^^

この本は・・・カタリーナさんの感想も裏表紙も、
謙信・景勝・景虎の三角関係がメインのようですが・・・
ほんと、無理矢理に兼続の名前を出さなくても
良さそうですね^^;;

2008/12/08 (Mon) 21:52 | REPLY |   

カタリーナ  

■レッドさん

私が音楽を無心で楽しめないのと同じように、
レッドさんは職業目線で読書してしまわれるという状態、想像ができます。
星先生の作品はあちこちで見たレビューで、評価がイマイチだったので読んでないんです。
カゲカツィストとしてはすべて制覇すべきかとも思っていたんですけど、
レッドさんの感想を拝見するに、やっぱり読まなくていいかしら……。(苦笑
河出文庫のは坂口安吾のだけ別に読みましたが、
坂口安吾に自分が抱いていたイメージと違って、非常に面白いものでしたよ。

>「北村一輝ファンが読む上杉景勝」
おおお!
お待ちしております、このカテゴリー。
もしかしたら、私なんかよりレッドさんのほうが、
すでにずっとたくさん景勝本を読んでおられるんじゃないかと思いますが、
掘り出し物がありましたら、是非情報交換させてください。
因みにこの坂上さんの作品は、完全に北村&玉山変換でOKです。
両思いな2人を是非。

2008/12/08 (Mon) 23:19 | EDIT | REPLY |   

カタリーナ  

■元康さん

天地人関連本が、それはもうネズミ算式に繁殖してる気がします。(苦笑
ここでの謙信はどっちかというと伏線扱いだと思いました。
謙信に警戒されている景虎と、謙信を嫌っている景勝。
それが御館の長い争いへと繋がっていくんですけど、
作品のメインはやはり御館の乱のシュミレーションですねー。
そういう意味では面白い作品だったと思います。

2008/12/08 (Mon) 23:32 | EDIT | REPLY |   

まるひげ  

お読みになられたのですね!
景勝&景虎の両想い本(笑)。
本当に、この本がここが最大のポイントで…(にやにや)。
御館の乱をここまで理想的に仕上げてくれた点に感謝です。

自分も、この本読み終わるのに結構時間がかかりました。
カタリーナさんが仰るように、
1冊分に詰め込みすぎたのかもしれません。
キャラが立ってる家臣団それぞれの描写については、
もう少し整理して描いてくれてもよかったですね…。

2008/12/09 (Tue) 01:19 | REPLY |   

カタリーナ  

■まるひげさん

ああ、詰め込みすぎって言うのがあってるかもしれませんね。
途中で「これならそのまま山本寺さん主役でいいのに!」とか思ってましたし、
それだけ脇もキャラ立ちしてたってことではあるんですけど、
もうちょっと視点を絞ってくれたらなあと。
御館のシミュレーションは当然、
ちょっと気の毒な直江信綱の扱いとかも面白いと思ったんですけど、
何しろ景勝公があんなでしたから、やはりそこがポイントに。(苦笑
「愛の告白」とかいう形容詞、まず思い浮かばないお方ですもの~。

2008/12/10 (Wed) 22:32 | EDIT | REPLY |   

リューザキ弾正  

武田軍、遅参(^^;)

すみませ~ん(焦)
越後フィルターがかかっていたのか(笑)
この記事がなかなか読めなくて・・・
「のだめ」の記事はすぐに見れるのですが(煩悶)

好きかもしれない、主人公がリレー式に変わっていく、この小説
(違っておりますね、分かっております^^;)
「愛の告白」・・・別の意味で、煩悶(^^;;)

次に読んでみますね♪
そのうち、我が書棚が武田勢と上杉勢のせめぎ合いになりそう(笑)

2008/12/11 (Thu) 09:53 | EDIT | REPLY |   

カタリーナ  

■リューザキ弾正どの

リレー方式で主人公が代わるならまだしも、
バレーの選手交代のように出たり入ったりするものですから、
どっちつかずな印象が。(苦笑

> そのうち、我が書棚が武田勢と上杉勢のせめぎ合いになりそう(笑)
おお!
それは横○海津城にて川中島の再現ということですね!

2008/12/12 (Fri) 22:52 | REPLY |   

kacchan  

お久しぶりです。

カタリーナ さん。
 お久しぶりです。
 音楽関係のお仕事をなさってるんですか。
 坂口安吾は好きでした。

2009/08/06 (Thu) 13:53 | REPLY |   

カタリーナ  

■kacchanさん

ご無沙汰しております。
坂口安吾は読まず嫌いみたいなところがあったのですが、
機会があって読んでみたら面白い切り口と語り口調で、
ちょっと他の作品にも手を出してみようかなあと思いました。

ブログお引越しされるのですね。
今までのところはメンバーでないとコメントできず失礼してしまっていましたが、
今度からはお邪魔できるかなと楽しみにしております。
お引越しされましたら、URLをお知らせくださいね。

2009/08/07 (Fri) 21:29 | REPLY |   

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