「くらのかみ」 小野不由美 著

講談社の「ミステリーランド」は、
「かつて子どもだったあなたと少年少女のため―」
というコンセプトで刊行されているシリーズです。
小学校の図書館の本を思わせるしっかりとした装丁に、やわらかくて丈夫な紙、
角が丸くなっていて、文字も大きく漢字にはルビが振ってあり、
優しいタッチの挿絵も入っています。
そのしつらえからして、このシリーズは「子供」を対象にしているように見受けられます。
でもコンセプトを読むと、「大人向け」でもあるんですよね。
その辺の的の絞り方が難しいんじゃないかなあと思いつつ読んでみたのがこちら。

くらのかみ (ミステリーランド)くらのかみ (ミステリーランド)
(2003/07/30)
小野 不由美

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2003年の発刊当時に一度読んでるんですが、
そのときは小野不由美さんということでかなり濃いものを期待して読んだせいか、
正直「肩透かし」を食らった感じでした。
「これでおしまいー!?」と、そのあっさりとした終わり方にちょっとがっかり。
でも今回改めて読んでみたら、「自分、何にもわかっちゃいなかった」と、
小野不由美さんに平謝り状態でした。(苦笑

ある年の夏休み。
本家の屋敷に集まった子供たちがある遊びを始めると、子どもが1人増えていた。
けれどどの子も最初からいたとしか思えない……。

山奥、座敷童子がいるという古い屋敷、崇り、伝説、そして夏休み。
子供ならワクワクしてたまらない要素がすべて盛り込まれています。
大人でもすごく懐かしくなるシチュエーションが設定されています。
そこに「後継者争い」というネタが絡んで、二重の謎解きになっているところが、
ミステリーたる所以でしょうか。
「どの子が座敷童子なのか?」というのが一番の謎なんですが、
実はこれはわりと早い段階で察しがついてしまうんですよね~。
そういう意味ではミステリーとしてのドキドキ感は薄れてしまうんですが、
そこはノスタルジーで補えるかなと。(苦笑
でも実はそうした謎解きよりももっと大切なことがあったことに、今回やっと気づいたんです。
それは、何度か繰り返される「座敷童子は家を守る」ということが、
どのように行われたのか、ということ。
座敷童子は気まぐれに出てきたわけではなく、ちゃんとタイミングをつかんでいたんです。
座敷童子は具体的には何の行動もしなかったけれど、ちゃんと役割を果たしてたんです。
そのことに気づいた今、「小野不由美さんてやっぱりすごい」と思いました。
ああ、なんて読解力がなかったんだろう!
今になってやっと謎を解いた気分だよぅ。(涙

この作品は小野不由美さん独特の文体を残しつつもかなり平易に書かれていて、
内容も「死人が出ない」点から見ても子供向けではあるんですが、
それでもやっぱり子供にはちと難しくないか?と思います。
かといって大人には物足りない面がある。
この作品の場合は「大人が子供に戻って読む」というのが可能ですから、
かろうじてこのシリーズのコンセプトは守れているのかなと思いますが、
果たして他の作品はどうなってるんでしょう。
もう1冊手元にありながら放置してある作品があるので、それを読んでみようかと思います。

2 Comments

こぐれっち  

存じ上げませんでした(^^;;

最も、私はにわかファンですから…(笑)

携帯だと本の画像が見られ無いです(T^T)
記事読んで、ゴーストハント、シリーズに近い色合いの作品の印象を受けました。

機会があれば読んでみたいです。(^O^)v

子供向け、というふれ込みでも、良作であれば大人の鑑賞に耐えられる、好例のようですね(o^-')

2008/11/21 (Fri) 18:28 | REPLY |   

カタリーナ  

■こぐれっちさん

このシリーズは著名なミステリー作家さんが多数参加しておられ、
非常に興味深いものかと思います。
私は今のところ、京極夏彦さんの作品が出るのを待っています。

小野先生の作品はどれもそうですが、
やはり作品の奥を読み取ることを要求されますね。
今回は特にそうでした。
子供向け、といううたい文句に騙されてはいけないなと。
宜しければレンタルいたしますよ。
遠慮なく仰ってくださいな。

2008/11/22 (Sat) 00:49 | EDIT | REPLY |   

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