「オケピ!」 三谷幸喜 著

三谷さんは台本が活字になって残ることを好まれません。
今現在公けに目にできる三谷さんの台本というと、
戯曲傑作選のようなものに掲載されている2作品、つまり、
「12人の優しい日本人」とテレビドラマ「振り返ればやつがいる」の数話分。
そして岸田國士戯曲賞受賞で書籍化された「オケピ!」の3つではないかと思います。


オケピ!オケピ!
(2001/04)
三谷 幸喜

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「オケピ!」に関しては、岸田國士賞受賞作は書籍化して、
授賞式で来賓者に渡す慣わしになっていたため、仕方なく書籍化したと、
三谷さんが本のあとがきではっきり記しておられます。
たとえ高校生の演劇であっても自作の上演を認めない信念の強さは、
人によっては頑固ととらえるかもしれないけれど、
私は作品に対する敬意を思い出させてくれる、必要なものだと思うんですよね。
戯曲出版拒否は「端から見ると単なるエゴかもしれない」なんてことも書いておられますが、
そういう職人気質といいますか、譲れない何かを持っている人というのも、
1人くらいいていいんじゃないのかなあ。
そんな絶版本ではありますが、割と簡単に図書館で借りられます。(笑
「オケピ!」の舞台版は、チケット争奪戦に悉く破れまして、結局未見。
ふと思い立って、今回台本を読んでみることにしました。

内容は、ミュージカルの舞台が上演されているときに、
舞台下のオーケストラピットで繰り広げられる人間模様。
それがミュージカル仕立てで描かれていきます。
仕事にやる気のない人。仕事に不安を抱えてサイドビジネスやっている人。
初めての仕事に不安を抱えている人。恋愛問題でごたごたしている人たち。
それぞれの担当の楽器の特徴を加味しながら、
相変わらず個性豊かな登場人物が、物語を紡いで生きます。
しかし、岸田國士賞の審査員の方々の指摘にもあるように、
正直この話の舞台がオーケストラピットである必要が感じられません。
あ、いきなり言っちゃった!(苦笑
オケピの話なので、当然私は、オケピで働く音楽家たちの、
仕事現場での裏話みたいなものを期待していたんですよねえ。
その点で「あれっ」って感じではあったんですが、更にあのー、
すみません、この作品がミュージカルである必要性もあまり伺えません……。
ごめんなさい、ごめんなさい!
読む限り、ドラマとしては素直に面白いんです。
伏線があってそれらが繋がって、最後にはハートウォーミングな結末を迎えて、
三谷さんらしい楽しい作品だということは、台本からもわかるんです。
役者さんたちが動いたら、おかしくてたまらないだろうということも。
だけど、ミュージカルについている生バンドにしちゃ演奏時間が極端に少ないし、
いくらなんでも本番中のオケピにこれはありえないと思い始めてしまうと、
もはや舞台が成立しなくなってしまうんですわ、私の中で。(苦笑
ついでに、楽器のソロパートで担当キャストにソロナンバーを歌わせるという手法も、
アイディアとしてはとてもよくわかるんですが、
それが果たしてミュージカルとしての魅力に繋がるのかは甚だギモン。
結局これ、ストレートプレイでよかったんじゃないのかなあ。
なんてことを書いたら、元も子もないですね。(苦笑
舞台を見ずに判断するのはアレですが、同じように脚本を読んでみると、
「12人の優しい日本人」のほうに、私は1票を投じたいですね。

6 Comments

リューザキ  

再演のテレビ中継をみました(^^;)

・・・が、やっぱりミュージカル&オペラ好きな者にとっては、
ツッコミどころがあり過ぎます(^^;;)

再演なので、戯曲に残っている物との違いはあると思いますが。
(ちなみに、パーカッショニストが土方歳三→相馬主計にとか)

初演の時の台本作成の段階で、服部3世(我が家では服部隆之氏をこう呼んでいます)も、
幾分か指摘をして、直しも入れているそうなのですが。

楽屋話は、「そうそうそう♪」と納得できると共感しやすいのですね。
ちなみに「Your the Top  ~今宵の君に~」は三谷ミュージカルの中では馴染めやすいです(^^)

2008/09/16 (Tue) 20:27 | EDIT | REPLY |   

木暮兼人  

オケピ!

私も、図書館で借りて読みました。
再演も見たかったのだけど、チケットが高い
という理由で、ウチでは却下になりました・・・

 先日の山本耕史君のZepp名古屋の「ヘドウィグ・・」
 は清水の舞台から飛び降りるつもりで
 私がヘソクリで切符を買いました。

で、私も読んだ感想でしかないのだけど
この作品も、良くも悪くも三谷ワールドであって
これをオケピでやる必要があったのかというと。私も正直、疑問
 #でも、これって「コンフィダント・絆」の4画家にも言える・・・
 #ゴッホやゴーギャンが後で仲悪くなったのは確かに有名ですが

シチュエーションコメディの旗手と本人が自負されるのであれば
あまり妙な小細工をされてしまうと
こちらが困ってしまう、というのが正直な感想です。

三谷さんのコメディにされるシチュエーションのネタそのものが
最近限定されてきてるような印象があるのも、
個人的には気になっております(汗)
名古屋で観た「君となら」は最高に面白かったのだけど・・・
伊藤俊人さんもいい味出してましたし(ToT)

2008/09/16 (Tue) 22:54 | REPLY |   

カタリーナ  

■リューザキさん

やっぱりツッコミどころ満載ですか~。(苦笑
再演だとキャストも違いますから細部はかなり変わってるでしょうね。
とはいえコンセプトは変わらないでしょうし、印象はあまり違わないのでは。
三谷さんは日本のオリジナルミュージカルはホンが弱いことを指摘して、
そうではないミュージカルを目指して作られたと読みましたが、
結果的にミュージカルとしての魅力はどこにあるのかが、
残念ながら台本からは読み取れませんでした。
オーケストラピットを舞台にするという着眼点は素晴らしいと思ったんですけどねえ。
そういえば「You are the Top」はどこかに録画したビデオが……。
見ないまま放置されております。(苦笑

2008/09/17 (Wed) 01:24 | EDIT | REPLY |   

カタリーナ  

■木暮兼人さん

同じことを考えている人がいてよかった!

>この作品も、良くも悪くも三谷ワールドであって
そうなんですよね。
最近の三谷さんの作品は、ある意味、
役者さんに少し頼りすぎなんじゃないかなあとも感じます。
アテ書きがだんだん裏目に出てきているというか。
その辺りが、木暮さんのおっしゃるネタの限定にも繋がるのかもしれないですね。
「コンフィダント」は拝見していないので何とも言えませんが、
昔の作品のほうが「作品としての面白さ」があったように感じます。

2008/09/17 (Wed) 02:13 | EDIT | REPLY |   

リューザキ弾正  

人生、山あれば谷啓(深い意味なし)

え~と、訂正に参上(照)
「Youre the Top」はミュージカルではなく、
出演者が歌うシーンのある、舞台です(焦)

ミタニンの作品には、出来が良い物、勇気は買うが意気込みが空回りしてしまった物とありますが・・・

そろそろ、「彦馬がゆく」とか「その場しのぎの男たち」のみたいな、
歴史物を取り上げて欲しいですね♪

アイデアとしては、吉田松陰(とゆかいな仲間たち)があるそうですが。

2008/09/18 (Thu) 23:57 | EDIT | REPLY |   

カタリーナ  

■リューザキ弾正どの

そうですね、私も三谷さんの作品はどれも手放しで面白いというわけにはいかず、
仰るように空回りしてしまった……的な作品もあるなあと思います。
どれもそれなりにヒットする作品を書けるというのはものすごいことだと思いますが、
やはり「名作」というものはそうそう生まれないものなんでしょうね。
三谷さんの歴史物、また見たいですね。
でも大河のように、ちょっと制約みたいなものがあったほうが、
かえっていいものが書けるのかもな~なんて思ってもいます。(苦笑

2008/09/19 (Fri) 00:33 | EDIT | REPLY |   

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