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戦国繚乱 高橋直樹 著 

秀吉の九州征伐の前に、黒田如水の姦計にはまって滅んだ、
豊前・城井一族の最期を描いた「城井一族の殉節」
後のキリシタン大名・大友宗麟が、いかにして家督を継いだかを綴る「大友二階崩れ」
上杉謙信の後継を巡って養子二人が争った御館の乱を描く「不識庵謙信の影」
以上3本の中編が入っているのが高橋直樹氏の「戦国繚乱」です。

もちろん「不識庵謙信の影」が読みたくて購入したのだけれど、
「城井一族の殉節」のほうにものすごい感動をしてしまった私。
新幹線の中で読んでいたにもかかわらず、涙がこぼれてしまいました……。
豊前の城井谷に城を構える名門・城井一族は、
秀吉の九州征伐(=島津征伐)の際、家を守るために渋々それに従います。
領地を安堵してもらうため、先鋒をかって出てまで奮闘するものの、
加増という名目で伊予国は今治へ国替えを命令されてしまいます。
これを不服とした一族は、400年の長きに渡って住み続けてきた土地を守るため、
様々に手を打つものの、黒田如水の知恵の前には到底敵わず、
仕掛けられた陰謀と壮絶な戦いの末、一族は討たれてしまいます。
一族の死は理不尽で悲劇的であるけれども、その瞬間に見せる人間の底力、
死に際して、逆に、「これが生きることだ」と感じさせる最期に、心が揺さぶられました。

「大友二階崩れ」では、戦国の世にあって何を信じるかが描かれています。
後の大友宗麟は、大友家の跡継ぎと定められていたにもかかわらず、
異母弟が生まれたことにより、父によって廃嫡されそうになります。
家臣たちもそれぞれに駆け引きを始め、家中は俄かに騒然となっていきます。
誰が味方で誰が敵なのか。何を信じればいいのか。
家族ゆえの非情さが胸に迫ります。
苦悩の中にあって己を失わず、尚且つ家族を信じようとする宗麟の姿に、
強靭な精神力と心の底に漂う情を感じ、それが重く心に響きました。

生涯不犯を誓い、実子のなかった上杉謙信。
その謙信が後継者を定めることなく急死してしまったため、
上杉家中は2人の養子を後継者に奉じて二派に分裂します。
その御館の乱を取り上げたのが「不識庵謙信の影」
謙信の跡目を継ぐ可能性を持ちつつも、いまひとつ覚悟の足りない喜平次こと景勝は、
同じ養子でありながら他家を継いだ上条弥五郎、さらに直接の対抗馬である三郎景虎、
腹心の樋口兼続、おまけに上杉家臣団からも見下されています。
兼続など、景勝の家臣でありながら、その口の利きようは非常に威圧的。
どっちが主人なんだか。(苦笑
年上の景勝の方が、まるで子供のようなのがちょっとばかり気になります。
しかし、そのなめられきっていた景勝が、1年に及ぶ争乱を通して、
上杉の主たるべく大きく変わっていきます。
不器用で謙信とうまく情を交わせず、どこかで実父の面影を追っていた景勝が、
そうした己の弱さを乗り越えて戦国武将になっていくさまが印象的でした。
ただ、御館の乱は連日戦続きで、しかも1年もかかった争い。
それをなぞってしまったために、史実を並べることに大半が費やされてしまい、
景勝自身はもちろん、兼続や家臣団との関係、景虎や、景虎に嫁いだ妹とのことなど、
人の心の動きがやや希薄になってしまったのが残念な作品です。

この3編からは共通したものが浮かび上がってきます。
危機に陥ったからこそ発揮される人の強さ。
権力や自我、欲の裏に隠された人間の恐ろしさ。
どちらも人間の持つ力強さであろうと思います。
高橋直樹氏の作品は初めて読みましたが、人間の持つ善と悪の対比が素晴らしいです。
単なる善人、悪人というのではなく、どちらも併せ持って1つの人間になっている。
ぜひ他の作品も読みたいと思わせる作家でした。

戦国繚乱 (文春文庫)戦国繚乱 (文春文庫)
(2004/12)
高橋 直樹

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[ 2007/12/07 00:51 ] 上杉氏(小説) | TB(0) | CM(2)
私は高橋氏の作品は4作目です。

いずれも人間の暗部というかな、よく描いています。

”曾我兄弟の密命”が個人的にオススメですね。
[ 2009/05/11 21:50 ] [ 編集 ]
コメントありがとうございます。
高橋氏の作品はこれが初めてだったのですが、
人間の暗の部分もその人の一面として浮かび上がらせていて、
とても魅力的だと思いました。
オススメの ”曾我兄弟の密命”、是非読んでみたいと思います。
仇討ちの美談とされているものが高橋氏の手でどう描かれるのか興味津々です。
ご紹介ありがとうございます。
[ 2009/05/11 22:58 ] [ 編集 ]
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