キャスティングの妙 ~医龍~

結局今クールで視聴したドラマは「医龍」のみ。
振り返ってみたら、最終回までたどり着いたのは、昨年の「電車男」以来でした。

「医龍」は、医療ものドラマにチームを持ち込んだことが核となりました。
1人ずつメンバーが増え、それぞれが抱える事情や過去が明らかにされ、
そこに大学という組織、患者の立場、そして手術といったことが事件として絡み、
全編を通して緊張感あるドラマになっていたと感じます。
また、ただスペクタクルなだけの医者話にならず、
非常に落ち着いた、しかし勢いのある雰囲気を作り出していけたのは、
キャスティングが絶妙だったことに尽きると思います。

必要なこと意外は語らない天才外科医朝田龍太郎には、
誠実さと精悍さに加え、眼で物を言う力を発揮した坂口憲二
医局を変えるために教授を目指したはずが、
いつのまにか教授になることだけが目的になってしまいそうだった助教授の加藤晶には、
気の強さと芯の強さの裏に、女としての脆さを垣間見せた稲森いずみ
迷える研修医伊集院登には、表の頼りなさとは裏腹に、
信念を守り通す勇気と成長したいという思いを覗かせた小池徹平
嫉妬と憎悪を抱え、朝田を追いつめていくライバル校の外科医霧島軍司には、
表情を消し、どんなときでもその端正な顔立ちを崩さず、
特に謎めいた美男をやらせたら右に出るものはいないであろう北村一輝
良心ゆえに、普通の医者としていることができなくなってしまった天才麻酔医荒瀬門次には、
銀髪も薬物使用も、金で仕事を選ぶ不遜な態度も、
すべてを一個の人間として納得させてしまった阿部サダヲ
普段は明るく振舞っているものの、実は辛い過去を持つ天才看護師里原ミキには、
天真爛漫さと真剣さをあわせ持った女の強さが魅力の水川あさみ
人間としての優しさと医師としての真面目さが、
時として足かせになっていた一流臨床医藤吉圭介には、ひたむきさと、
周りとのバランスを図る冷静さがまさに手術を見守る内科医にぴったりだった佐々木蔵之介
全員が主役になってもおかしくないキャラクターであり、キャスティングでした。
ストーリーは人によって運ばれていくもの。
結局のところ、キャラの魅力がドラマの出来を左右するのかもしれません。

もちろん、医療ドラマとして素人目にも「それはどうなのよ」というツッコミはあります。
でも、そこに突っ込むことには何ら意味がないと思えたのは、
それだけ訴えるもののある内容だったということかと思います。
けれど、チームドラゴンのメンバーは、全員「天才」であり「一流」なのです。
もちろんそういう人間が集められたわけですし、手術をこなしていくうちに、
彼らが最強のチームに成長していくところに軸があるわけですが、
一患者の立場から考えてみると、このような大手術を受けるとなったら、
チームドラゴンのような天才が揃わなければ、手術は成功しないのだということが、
あたかも悲しい現実であるかのようで、見ていてだんだん辛くなったのもまた事実でした。

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