浅葱色の風 里中満智子作

浅葱色の風―沖田総司 (中公文庫―コミック版)浅葱色の風―沖田総司 (中公文庫―コミック版)
(1997/12)
里中 満智子

商品詳細を見る


これが世間一般に広まっている沖田総司のイメージを、
王道で描いている作品なのではないかと感じた。
「笑っていれば悲しい気持ちを忘れる」という台詞や、
島原で再会した幼なじみのために島原へ通うも、指一本触れなかったのは、
「お金で"時間"を買って、嫌な客から守る」ためだったり、
父のない子を一人で産み育てようとしていた女性に手を差し伸べたり(沖田氏縁者之墓の謎)、
剣の天才で好青年というイメージが、少女マンガのヒーロー像にぴったり当てはまっている。
この作品での沖田総司は、「好きな人を喜ばせたい」という想いから常に行動している。
その純粋でひたむきな生き方が、彼の孤独をより強調しているように思う。
彼はこの世に生きているけれど、実際は世の中をどこか別な穴から覗いているのではないか。
だからこそ、この世ではどことなく孤独を感じてしまうのだ。
そこに不思議な透明感が漂ってくる。
周りの「死」と自らの「死」に常に向き合いながら、
それでも爽やかに駆け抜けていく沖田総司には、
「浅葱色の風」というタイトルは、まさにその通りと思わせられた。

4 Comments

oh  

王道、ですね。
このころは司馬先生の沖田観が全盛でして、この作品もその系統を忠実にしていたようでしたみたいですし。
今でこそいろいろな角度での沖田観もでてきているし、縁者の想定もいろいろ。
でも、いまだにこの見方が根強い人気なのは、この沖田観が一番受け入れやすいのでしょうね。

話は変わって、この作品の土方の洋装姿に惚れとります♪

2005/10/30 (Sun) 23:08 | EDIT | REPLY |   

カタリーナ  

■ohさん
この作品は結構古いんですね。
キャラクター的には、この描き方が少女マンガにピッタリなので、
どうしてもそういう設定になってしまうんでしょうね。
いろいろな研究などによって、
今では逸話も様々な解釈があるようですね。
最近は新選組を扱った小説類も随分増えましたし、
いろいろな沖田像を見てみたいなあと思います。

2005/10/31 (Mon) 00:48 | EDIT | REPLY |   

oh  

確か里中氏20周年?記念の作品だったと思います。(今、何周年目ですか?年バレますね、知ってると言うのは)初版で買っていました。
この傾向の作品(同時期)としてはレッドさんがちょうどコラムで書かれています(出してよいかな?)「天まで上がれ」が有りますが、その沖田よりかはこちらの方が落ち着いて大人びているので、個人的には好きですね。土方はビジュアルには実はあちらの方が良いのですが、人物的表現はやっぱりこちらですね。こちらの洋装も魅力大ですが。
里中氏の性格表現の描写はキャリアを裏付けさせていると思います。

ただ、これも個人的にはひねた人物が好きなので、ずっと下って、「無頼」の沖田の性格描写が一番気に入っています。

いろいろな沖田さんが出来上がって、本人は困惑しているのではないでしょうかねぇ?
どれが一番近いかはね本人のみぞ、知る?

2005/10/31 (Mon) 23:57 | EDIT | REPLY |   

カタリーナ  

■ohさん
>いろいろな沖田さんが出来上がって、本人は困惑しているのではないでしょうかねぇ?
あ~、そうかもしれないですね。
きっとどれも自分とは違うんでしょうね。
どの像が一番近いと思っているのか、
あるいはどの像が一番「気に入って」いるのか、
ぜひ本人に訊いてみたいものです。

2005/11/02 (Wed) 23:10 | EDIT | REPLY |   

Leave a comment