演奏家が自分1人のためだけに演奏してくれるとしたら、
これほどの至福の時はないでしょうね。
ピアニストの向井山朋子さんは3年前から「for you」という、
たった1人の聴衆のためのピアノリサイタルを開かれていましたが、
今年横浜のみなとみらいホールで開かれるリサイタルは、
たった1枚のチケットがネットオークションにかけられて、100万円で落札されました。
みなとみらいといえば、2000人規模の大ホール。
そこに唯一の観客として座るのは、演奏者よりも緊張するような気がします。
向井山さんといえば、コンテンポラリー系の人という印象しかなく、
残念ながら実際の演奏は聴いたことがありません。
プロフィールを拝見すると、建築家や映像作家、舞踏家など、
異ジャンルのアーティストとのコラボレーションも数多く試みておられ、
かなり異色なピアニストでいらっしゃるようです。
たった1人のためだけのコンサートといえば、ずいぶん昔になりますが、
「南野陽子なんのこれしき」という深夜番組(ラジオ)の中で、
葉書かなにかの抽選で選ばれた人が、たった1人、
スタジオでナンノちゃんのナマ歌を聴けるという企画がありました。
当時私は中学生だったと思いますが、アイドルのファンサービスとしては、
なかなか粋な計らいだなと思いました。
でも向井山さんは、クリエイターと受け手が1対1で対峙する時に生まれる空気を、
音楽の一部、芸術品の一部にしてしまおうと考えておられるんでしょうね。
向井山さんの演奏は15分間。
どんなドラマが生まれるのか、想像してみるだけでもワクワクします。
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