プロフェッショナル 仕事の流儀「答えを求めて、声を探す~声優・神谷浩史~」

様々な分野でプロフェッショナルな仕事をしている人を取り上げる番組
『プロフェッショナル 仕事の流儀』。
2019年最初の放送は、声優・神谷浩史さんでした。
この番組で声優さんを取り上げるのは初めてのことで、
おそらく私同様多くの声オタのみなさんが放送をリアルタイムに見守ったのではないかと思います。

5ヶ月間という長い密着期間でしたが、
仕事の現場で神谷さんが見せる表情が常に厳しかったことが印象的でした。
「進撃の巨人」のリヴァイも、「BELOW THE SURFACE」のフィリップ・ノアゴーも、
「Kiramune Presents リーディングライブ カラーズ」の青柳スグルも、
役柄的に、あるいは切り取られた場面的に、厳しい状況下に置かれた人物ではありました。
そういう芝居をする上で、「その通りの表情になる」のは当然のことだと思います。
私は神谷さんはどちらかというと表情を変えずに淡々と、
しかし的確に表現されていく方だと思っていたので、
アフレコ中にここまで表情が変化することに少なからず驚きました。
芝居をするということはやはりこうなのだ、とも思いました。
それにしても、です。
全体的に、本当に厳しい顔をしていることが多かった。
神谷さん自身、この5ヶ月間に渡る取材を経て、
「ドキュメンタリー番組で取材対象の人が難しい顔をしているのがよくわかりました」
と語っていたそうですが、それは常にカメラに追われているからだけではなく、
やはり神谷さん自身の仕事に対する姿勢からくるものも大きいと思うんです。
本当にストイックに仕事に向き合う方で、自分に対して妥協なんてものは一切ない。
それは元来の性格もあるでしょうし、大きな事故を経験したこともあるでしょうし、
職業柄「次の仕事の保障がない」という危機感もあると思います。
神谷さんだけが特別だとは思いませんが、
それでも「仕事に対する真剣度がケタ違いなのだ」と感じました。
神谷さんといえば、舞台挨拶で見せる「お辞儀の丁寧さ」は有名ですが、
番組を担当した天谷来翔ディレクターも後日談としてそこに触れていて、
「お客さんの前でも、スタッフの前でも徹底しているその姿勢」に驚いたといいます。
こんなところにも、「神谷さんの仕事に対する気持ち」が現れていると思いました。
半端ではいけないんです。
徹底的にやらなければこれだけの仕事は回ってこないんです。

神谷さんの言葉ひとつひとつに、すごく身につまされる思いでした。

神谷さんは、小野大輔さんと一緒に『DearGirl~Stories~』というラジオ番組を持っています。
私もDGSのイベントに参加するほど、ヘビーリスナーです。
密着番組であればこのラジオの現場にも取材が入るのではないかと期待していたのですが、
放映された中にそれはありませんでした。
しかし、なんとちゃんと取材に来ていたんですね。
でも内容がアレすぎて、NHKとしては放送できなかった……と。
完全カットだった、と。(爆)
それでも神谷さんがDGSの中で言っていたんです。
「笑っているのがDGSの現場だけだった」って。
DGSでは本当ーーーにバカばっかりやっていて、
(面白いケド)四十路のオッサンたちがこれでいいのかと思うこともままありますが、
実際はアフレコと同じように真剣に番組に臨んでいて、
でもほんの少し力を抜いていられる時間なんだろうなと思いました。
アフレコ現場で見せた厳しい顔も、DGSで聞かせるバカ話や笑い声も、
どちらもひっくるめて「声優・神谷浩史」を形作っていると思うと、
プロフェッショナルは番組としてあと一歩踏み込んでほしかったところですが、
でもまあDGSは放送できないよね、仕方ないよね、わかるよ……。(苦笑)

いつものごとくすっかり長くなってしまいましたが、
私が一番ハッとさせられたのが、
「僕たちは芸術家じゃないんで」という言葉でした。
もう少しこうしたいとか、作り込みたいとか、やり直したいとか思っても、
監督のOKが出たらそこで終わりなんですよね。
芸術家みたいに「自分の納得いくまで」とことん練り直すなんてことができない。
もちろん、アフレコに納得いかなくて撮り直しをお願いしたなんて話も聞きますが、
それだって限界がありますし、最終的にジャッジするのは他人です。
「期待を超えないと、次はない」というだけでなく、
一瞬で自分も他人もベストと思えるものを生み出さなければならない厳しさに、
目からウロコでした。
「自分で作り上げた世界と、それを理解してくれる人」という関係が成り立つ芸術ではないんです。
冒頭で、「上手くなければ叩かれて、上手くやっても褒められない」とも言っていましたね。
そんなのはプロなら当然だろうと思うでしょうけれど、
だからこそ、技術とメンタルを鍛えなければ生き残れない世界です。
神谷浩史というひとりの声優のプロフェッショナルさだけでなく、
声優という職業の厳しさ、難しさ、そしてそれに対する誇りも感じさせた、
見応え充分の45分間でした。

なぜこの番組に神谷さんが選ばれたかなどのエピソードはこちらからどうぞ。

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