宝塚花組公演『はいからさんが通る』

昨年秋、とても話題になった花組さんの『はいからさんが通る』。
舞台はスケジュール的に見に行くことができなくて(超チケ難でもあった)、
みなさんの「楽しかったー!」感想を指をくわえて眺めていたんですが、
それをやっとやっと、やっと見ることができました!
放送されるこの日を今か今かと心待ちにしてました。

「ほんっとに楽しかったーーーー!」 

感想はこの一言に尽きます。
これ、DVDが出ないの惜しすぎます。
こんなに宝塚の布教に適した作品も珍しいと思います。
宝塚って、見たことがないという人を誘うには、ハードルが高いんですよ。
「女性だけで演じる」ことが未知である人にとっては、どうしても先入観もあるし、
何を見てもらったら素直に楽しんでもらえるか、演目選びがすごく難しい。
この「はいからさんが通る」には宝塚を象徴する大階段も羽根も出てこないけれど、
でもそれがないからこそ、気軽に見てもらえる気もするんです。

舞台って、映像で見るとその魅力が半減すると私は思っているのですが、
この作品も劇場で見ていたらどんなにテンション上がっただろうかと思います。
そのくらい、映像で見ても楽しくて楽しくて仕方なかった!
もうね、舞台なんだけど漫画でアニメなの。漫画でアニメなんだけど舞台なの。
アバンタイトルがあって、オープニングがあって、本編があって、
相応しいエンディングがあって、アニメで言うCパート的なところがあって、
最後にフィナーレがあって。
音の付け方も、舞台というよりも映像的なイメージで考えられていたように思いますし、
Elements Gardenの藤間仁さん提供の音楽もとにかくピッタリで、
絶賛レビューしか目にしなかった理由がわかりました。

花組『はいからさんが通る』

私、実は原作漫画を読んだことないんです。
南野陽子さん主演の映画は見ていますし、
「ごきげんいかが、紅緒でーす♪」という歌を知っているので、
おそらくテレビアニメも目にしたことがあったんだと思います。
でもストーリーは全く記憶にない。
そんな私が見ても「え? もう? え? いきなり?」と思うような超特急な展開で、
キャラクターが背負うものの重さみたいなものも、説明セリフで済まされちゃったりしてるんですが、
出演者のキャラ再現率の高さと演技力、脚本のつなぎの上手さゆえか、
何だかよくわかんないんですけど、脳内補完できてしまうんですよ。
「ああ、きっとこの描かれない間に何かあったのね」って。
むしろその脳内補完が楽しい。あれこれ妄想したい。
何なのでしょう、この絶妙な配分は。
2時間半に、物語と作品の面白さと宝塚の魅力とがぎゅうぎゅうに詰まっていて、
「これが演出の小柳先生のすごさかー!」とひれ伏したくなりました。
何回か放送されるものを、保存用、観賞用、布教用に録画しますけれども、

もう、DVD出そうよ……!!!!

っていうか、劇場で見たかった(涙)。

各キャラ語りは以下にて。


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柚香光(伊集院少尉)
とにかくスターオーラが半端なくて、登場したとき発光したかと思いました(爆)。
いやそれくらい、「スターとはこうだ!」みたいな華と押し出しがあります。
少尉はアニメばりに軍服着たきり雀なんですけど、それをも霞ませるオーラが出てる。
しかも殺陣が素晴らしい!
宝塚の殺陣はしょぼいのがデフォといいますか、それで仕方ないと思っていたのですが、
いやこれが本当に格好良くて見惚れてしまいましたよ!
柚香さんの少尉はとにかくその「おおらかさ」が魅力で、
「こんなイケメンがいつも笑って見守ってくれるなんて、前世でどんな徳を積んだらいいんですか?」
って感じなんですけど、でも少尉の魅力って、正直前半はそれだけなんですよね。
それが、シベリア戦線へ送られるあたりから笑顔が消え、
本来抱えていた苦悩に正面からぶつかることによって、本当の意味で大人の男になっていく。
この過程がなければ、少尉と紅緒はおままごと夫婦で終わり、
もしかしたらいずれうまく行かなくなったかもしれません。
柚香さんは声色が前半の軽くて甘い感じから、後半は低く太くなっていって、
少尉の心の動きがそこからも読み取れました。
ラストにようやく取り戻した笑顔は、甘さだけではない優しさと力強さに満ちていて、
「少尉が笑ったーーーー!」と心の中で涙をぬぐいました。

華優希(花村紅緒)
元気いっぱい、猪突猛進でちょっとガサツだけど、真っ直ぐで一生懸命な紅緒。
華ちゃんの振り切った演技がとにかくキュートで魅力的で、
まさに少女漫画のヒロインとして応援したくなる女の子でした。
願わくばもう少し「胸キュン」させる弱さや柔らかさが欲しかったなと思いますが、
そこはまだ研4で抜擢されたばかりですもんね、これからですよね。
華ちゃんはふくれっ面がすっごく可愛いの。
ふくれたほっぺをむにゅーーっていじりたいくらい、拗ねた顔が可愛いの。
表情豊かでくるくるよく動いて、そんなところも紅緒だったなあと思います。
少尉が戦死したと思い、寡婦として伊集院家を守っていく決意をするときの、
あどけなさを残しつつも凛とした強さは印象的でしたし、
戻ってきた少尉に別れを告げる場面もまた、乙女から女性へ脱皮する様を見ているようで、
「切ない恋心」を思い出したりもしました。
宝塚なので主役は少尉の設定になっていますが、結果的にはやはり紅緒が主役だったと思います。
それがまた華ちゃんにはきっと大変だっただろうと思うのですが、
カーテンコールでひたすら柚香さんを見つめている姿に、
「柚香さんをいっぱい頼って助けてもらってここまできたんだろうなあ」と感じました。
こんなところが、宝塚の先輩後輩関係の良さですね。

鳳月杏(青江冬星)
とりあえず、鳳月さんの下睫毛がツボ。
これをつけることでこんなにも漫画な顔になるんですね!
そして長いおみ足! これでもかと脚長を見せつけてくる衣装バンザイ。
白い婚礼衣装、あれでフロックコートを脱がせてしまうとかね、
普通そんなリスキーなことできませんよ?
それをきれいに上品に見せてしまうってどんなスタイルなんだよもう。
基本立ち姿は完璧に漫画を踏襲してると思うんですけど、いちいち様になる。
そして編集部のソファーで寝そべったときの脚の長さたるや……!
そんな周知の事実はさておき、今回は何をおいてもお歌。ソロ歌!!!!!!
紅緒を少尉に譲ったあとに何もない殺風景な舞台で歌うソロが、
あまりにも切なくて爽やかで、歌声に吸い込まれるかと思いました。
歌詞に歌われる風景が、そこに見えてくるんですよ、何もないのに……。
冬星さんは最初から大人の余裕を持った男性ですが、
「女性が大嫌い」である点から、多分それに関わる様々から目を逸らしてきたんですよね。
そういう人が、紅緒に出会って人を知って、まっすぐ前を、上を見上げることができるようになる。
彼もまた、少尉や紅緒たちと関わることで、人生が変わったひとりです。
原作では冬星さんファンも多いと聞いていますが、
何ていうか、素敵な男性なんだけど、最後に紅緒が少尉を選ぶのもわかる気がしました。
それって、的確な役作りだったっていうことですよね。
(私は冬星さんを選ぶけどね!)
出番としては2幕からになりますし、コミカルで笑いを呼ぶシーンが多いのですが、
今回の舞台を支えていたのは鳳月さんだったなあと感じました。
鳳月さんが出てくると舞台がぐっと安定して、なおかつ空気が動くんですよね。
キャラクターの魅力を余すとこなく表現し、萌ポイントも着実に重ねつつ、
すべてが集約されたソロ歌を聴かせ、何というかファンには垂涎の作品でございました。

水美舞斗(鬼島森吾)
The漢!な鬼島軍曹。
作中で一番まともで頼りがいのある男ですよね。
どんな状況も生き抜けると思わせる強さ、精悍さが1000%溢れていて、
「これは環お嬢様が惚れるのもわかるわー」と思いました。
出番が少ない上にもったいない使い方をしていると思いましたが、
限りある尺に収めなくちゃいけない以上、こちらに時間が割けないのは仕方ないですね。
少尉との友情や環との馴れ初めなど、もう少しだけでも掘り下げられたら……。
そんなシーンがもっともっと見たかった!

藤枝蘭丸(聖乃あすか)
歌舞伎の女形である蘭丸。
聖乃さんはお顔はすごくきれいなのに、声が意外と太くて低いので、
女形の少年がとてもよくはまっていました。
蘭丸の体力はないけれど、気持ちは人一倍紅緒を思ってる感じが健気で、
それがまた、まだ下級生の聖乃さんの懸命に演じる姿と重なって、
思わぬ相乗効果を発揮していました。

北小路環(城妃美伶)
華族のお嬢様なんだけど、先進的な考えの持ち主で、紅緒に大きな影響を与える人。
城妃さんの現代的な顔立ちと華やかさ、明るさは、そんな環にピッタリでした。
物怖じせずに時代をどんどん先取りして、鬼島さんを追いかけていってしまうことが、
とても自然で納得できましたし、こちらも応援したくなる女性でしたね。
環はきっと……あのThe漢な鬼島さんを尻に敷くのですよね?(笑)
そうそう、城妃さんのフィナーレでのダンスがすごく可愛い!
「もつれ合うラブソング♪」部分のハートのジェスチャーに胸を射抜かれました(爆)。
隣に鳳月さんがいるので、娘役と男役で同じ振りでもこんなに違うのかと、
リピって見比べてしまいましたよ!


牛五郎(天真みちる)
この人にもひれ伏します。
本当に女性なのかと思ってしまうくらい、
牛五郎というキャラをそのまま、漫画のごとく演じておられました。
紅緒に「子分にしてくれ」と土下座するときの反りっぷりの見事さは必見ですし、
オープニングやフィナーレでのダンスも牛五郎のままなので、イヤでも目がいきます。
いやすごい。役者とはかくあるべし。

花乃屋吉次の桜咲彩花さんは粋で気っ風の良い芸者を、
印念中佐の矢吹世奈さんはその特徴的な声で私怨に狂う軍人を、
伊集院伯爵の英真なおきさんは頑固かつおちゃめなおじいさまを、
伯爵夫人の芽吹幸奈さんは優しげでちょっと天然なおばあさまを、
如月を演じた鞠花ゆめさんは厳しい女中頭をコミカルに(「エリザベート」のゾフィができそう)、
それぞれ好演していて、みんながいたからこその「宝塚のはいからさんが通る」だったなと思います。

映像とはいえ、今の時代にこれを見ることができて幸せ!
よし、原作読もう。そうしよう!
(実はだいぶ昔に買って持ってる)

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