『危険な関係』@シアターコクーン

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シアターコクーンで舞台「危険な関係」を観てきました。
グレン・クローズやジョン・マルコヴィッチが出演しての映画にもなりましたし、
宝塚ファンには「仮面のロマネスク」として知られている作品です。
(いつか仮面のロマネスクの感想も書きたいです)

上演が発表になったのは今年の春先でしたが、その瞬間、
「玉木宏がヴァルモン子爵をやるの? なにそれ美味しすぎる!」
と、もうそれだけで観劇を即決。(爆)
初日開けてから、ぱらぱらっと感想に目を通してみたんですが、
みなさんまず玉木くんの半裸の肉体美を大絶賛!
「鼻血~鼻血~。生きて帰れない~」という叫びで溢れていました。
その一方で、芝居そのものの感想はあまりなく、
そもそも話が入り組んでいてわかりづらいという意見が多かったんです。
ここでちょっと「大丈夫かな……」とそこはかとなく不安を感じたのですが……。

さて、ヴァルモン子爵=玉木宏、メルトゥイユ侯爵夫人=鈴木京香 のキャストで始まった舞台ですが、
音楽はジングル程度で最低限しかなく、まさに丁々発止の会話のやり取りで展開する、
実に緊張感に満ち満ちたものでした。
最近ニュースで、
「ミュージカル鑑賞が、約30分のエクササイズと同じくらい健康にいいことが明らかになった」
という研究報告を取り上げていましたが、それを実体験するような舞台でした。
とにかく膨大なセリフの応酬が激しくて、言葉を理解し、物語の展開を追うだけで、
脳も体もエネルギーを消耗する感じ。
今まで様々な舞台を見てきましたが、こんなに疲れた観劇はなかったです。

長くなるのでたたみます。


話の展開は、確かにわかりづらかったなと思います。
私の場合、宝塚版であらすじは把握してましたし、
ラストが宝塚版では改変されていることも知っていましたので、
話の理解という点は問題なくクリアでしたが、もし話を知らずに観たとしたら、
やっぱり「誰が何してどうなった?」って、途中で考えたかもしれません。
その原因は、台詞を詰め込みすぎた脚本と、演出の問題かなあと感じました。

今回、「原作の時代感を意識しない」作りだったんですよね。
衣裳も流行と日本風を取り入れた現代的なテイストで、セットもシンプル。
白い板とスケルトンの板を組み合わせたり入れ替えたりして、
ガラス張りの部屋を作ったり、個室を作ったり、日本風の庭園を見せたり、
欧州の演劇を見ているような、洗練された舞台空間ではあったと思います。
ただこれが、日本での上演に向いていたかというと、うーん。

本来はフランス革命期の話であるものを、おそらく上演する時代と場所に沿わせるために、
「いつの時代の」「どの国の」というあたりをぼかしたんだと思います。
そのせいでかえって中途半端になった印象を受けました。
日本人にとって、侯爵とか子爵とかという存在に馴染みがないし、
ましてや「貴族の遊び、嗜みとしての恋愛」というのにも馴染みがありません。
こうした時代背景を持つ欧州ならきっと受ける演出だと思いますが、
日本人向けなんだよなと思うと、何かアイコン的なもの、
「世界観をぱっとわからせる何か」がないと、物語には入り込みづらい。
そして、そういったものを力技でねじ伏せ、物語の中に連れ去ってくれるほどの演技力が、
残念ながら主演のおふたりには足りなかった気がします。
玉木くんは一も二もなくかっこいいし、鈴木京香さんの妖艶な熟女っぷりは魅力的でした。
でも芝居が弱い。
膨大な台詞をこなすことに終始してしまい、言葉遊びを楽しむ余裕もなく、
「恋の駆け引き」といった面があまり伝わってはきませんでした。
宝塚ではメルトゥイユを、この舞台ではトゥルヴェル法院長夫人を演じた野々すみ花ちゃんも、
どんどん心が乱れていくさまを熱演でしたが、なにか物足りなかったです。
全体的に見ていくと、もしかしたら「そういう演出だったのかなあ?」という気もしないでもありません。

そんなわけで、ものすごく体力を消耗したわりに、満足度は今一歩……でした。
今は大阪公演をしているのでしょうか?
ブラッシュアップされているといいのですが。

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