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『帝冠の恋 』 須賀しのぶ 著 

先日の直木賞候補だった須賀しのぶさんの一作品、「帝冠の恋」を読みました。
来週の月曜日(30日)からNHK FM青春アドベンチャーでラジオドラマ化されるという情報を得て、
放送前に原作を読んでおきたいと思い手に取りました。



本作は、ミュージカルとしても有名なオーストリア皇后エリザベートのお姑さん、
ゾフィー大公妃の若かりし頃の恋物語です。
その恋のお相手は、なんとナポレオンの息子!
私、全然知りませんでした。
あの厳格でハプスブルグの権化みたいなゾフィーが、
ナポレオン2世と不倫関係にあったなんて噂があるなんて。
ゾフィーの次男、つまりエリザベートの義弟マクシミリアンはメキシコ皇帝となってのちに銃殺されます。
そのことは史実として把握していましたが、まさかそのマクシミリアンがあのナポレオンの孫……?
私には「ええええ」な展開の物語でした。

ミュージカルでのゾフィーは意固地で意地悪な面がディフォルメされているので、
どうしてもこわいお姑さんというイメージが強いですが、
そもそもゾフィーの実像はあれほどにまで厳しいものだったのでしょうか。
エリザベートの伝記や考察本などは多数出ていますが、
ゾフィー大公妃のそれとなると日本語ではちょっと目にしたことがなく、
これまで触れる機会はありませんでした。
ただこちらも超有名な映画、ロミー・シュナイダー主演の「プリンセス・シシィ」の中でも、
ゾフィーはやはり厳しく、エリザベートに辛くあたる人として描かれています。
映画が作られたのは1950年代、ゾフィーの死から約80年後。



ヨーロッパではゾフィーは生きている頃からそういう人物として見られていたのか、
あるいは娯楽歴史映画として、主人公のシシィに対する人物としてそう描かれたのか……。
ドイツ語版のWikiを読むと、
「映画では意地悪な姑として描かれていたが、そうではない。
他の家族に対して、若い皇后(嫁)の悪口を言ったこともない」
という、ウィーンの著名な作家の説が載っています。

この「帝冠の恋」のゾフィーは常に前向きで、行動力があって、力強い女性。
それは読んでいて爽快で、恋に政治にひとり奮闘する姿を見ると応援したくなります。
そして彼女はナポレオン2世との恋を経て、
「オーストリア、ハプスブルク帝国のために」生きることを決意します。
それゆえに、オーストリアのためなら悪く言われてもかまわない、と、
厳しすぎる態度を取るようになってしまったとしても、それはそれで納得できると思いました。
そのあたりからも、恋物語とはいえ甘すぎることもなく、
かといって政治向きの話に寄って固くなりすぎることもなく、
非常にやさしい、サクサク読める作品になっています。
本来であれば、装丁版で2冊くらいにできそうな内容ですが、結構あっさり。
というのも、これ、もともとコバルト文庫の作品だったんですね。
あーーー、なるほど!

さてラジオドラマの方はどうでしょうか。
小説はわりと会話が多めでしたから、ラジオドラマ向きかもしれません。
基本的に王宮の中のお話ですし、登場人物もそれほど複雑じゃないですしね。
主人公のゾフィーは元宝塚トップ娘役だった野々すみ花さん。
NHK時代劇では常連さんになりつつありますね。
真田丸で信尹叔父上を演じられた栗原英雄さんも出演されますが、どの役だろう?
ラジオドラマが始まったら、またレビューしたいと思っています。
[ 2017/01/26 01:41 ] 読書/時代・歴史物 | TB(0) | CM(0)
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