もっとも美しい曲

『諸國へめぐり徒然探訪帖』のリューザキ弾正さんが、
【あなたがこの世で一番美しいと思う曲は?】という話題を取り上げていらっしゃいます。

美しい曲。

何をもって美しいとするのか、そして何をもってこの世で一番美しいとするのか、
その定義は人それぞれなだけに、自分に問いかけてみるのはなかなか面白いかもしれません。
とはいえ、私はこの質問に一瞬の迷いもなく答えられます。
考えを巡らす必要がありません。

マーラーの交響曲第3番 第6楽章。

私にとってはこれ以外にありません。
死んだときにはこの曲を流してもらうと決めています。

この曲(第6楽章)に表題はありませんが、マーラーはとある手紙の中で、
「神が私に語ること」と名付けることができると書いています。
神はただ「愛」としてのみ、とらえることができるのだと。
私がこの曲に出会ったときは、そんな事情は知りませんでした。
ただひたすらその美しさに酔い、溺れ、まさに「天上の音楽だ」と思いました。
長い長い交響曲を締めくくるにふさわしい、神々しいまでに美しい曲。
「美しい」「美しい」と書いてはいますが、
さて今、その美しさをもっと具体的に伝えようと思うと、
どう書き表わせばいいのかまったくわかりません。
どの言葉も不足に感じるし、どの言葉もふさわしくないように感じてしまう。
いろんな言葉を駆使してみても、到底伝えられるものではありません。
言葉はなんて不便なのだろうともどかしくなります。
この曲の前では言葉は無力だと思わざるを得ません。



私はアバドのレガートが大好きなので、彼の指揮したものを探してみました。
改めて聴いてみて、やはりこの曲の美しさを表す言葉は見つかりませんでした。
そして死んだときにこの曲を流してもらうのなら、
この曲にふさわしい生き方をしなければならないと不意に思い至りました……。

あなたの思う「この世で一番美しい曲」はどんな音がするのでしょうか。



<余談>
第6楽章、これだけで20分以上あります。
何しろこの交響曲第3番はただでさえ長いマーラーの曲の中で最長、
1時間半以上かかる作品で、当然CD1枚には収まりません。
でももし興味を持たれたら聴いてみてください。
16分あたりから終わりに向けて、音が積み重なって天へ上っていくさまが、
そしてそれが大いなる愛となって抱擁してくれるさまが、胸を打ちます。

2 Comments

リューザキ弾正  

言葉に、出来ない・・・

拙ブログを取り上げてくださって、ありがとうございますm(_ _)m

今、その記事のカタリーナさんのコメントにレスさせてもらってから、
こちらに来たのですが・・・
「何故、美しいと思うのか?」「どこが、どう美しいのか?」
まったく、結局は、言葉に出来ませんでした。

そして、それ故に「理屈抜きで、もっとも美しいと思う曲」なのかもしれませんが。

カタリーナさんの場合、「マーラーの3番の6楽章」ですか。
(すみません、マーラーの交響曲の中で、唯一の未踏破領域でした)

自分が死んだ時に流してほしい曲・・・
その観点が入ったら、また迷いそうです。

「もっとも美しいと思う曲」を一瞬の迷いもなく選ばれたカタリーナさん。
常に迷う(候補がたくさん出てきてしまう)リュー弾。
そこいらのところも、面白く記事を拝読させていただきました。


2013/01/29 (Tue) 17:01 | EDIT | REPLY |   

カタリーナ  

■リューザキ弾正さん

こちらこそ、興味深い話題を提供下さりありがとうございます。

やっぱり音楽を言葉で表現するのは無理がありますよね。
そこそこ解説めいたことはできたとしても、それはその人が感じて理解したことであって、
それが同じように相手に伝わるとは限らないですもんね。
人の感じ方はそれぞれなので……。
そもそも「音」を「言葉」で翻訳しようという考えが間違っているのかもなんて思いました。

美しい曲は、リュー弾さんも書いておられましたけど、好きな曲とはまた別ですね。
一番好きな曲は何かと問われたら、私もものすごく迷ってしまいます。
アレも好きだしコレも好きだし選べなーいってなります。(笑)
でも「美しい」となるとちょっと別でした。
マラ3の最終楽章は私にとって特別な響きなんです。
それはもう感覚の問題で、本能的にそう悟ったといいますか。
多分一生変わらないと思うし、そういう曲に出会えたことは幸せだと思います。

2013/02/01 (Fri) 23:34 | EDIT | REPLY |   

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