不思議の国のちりめん本

放送大学付属図書館所蔵のちりめん本と古写真を展示した、
~日本残像 ちりめん本と古写真が語る幕末明治~という展覧会に行ってきました。
実はこのちりめん本の存在を知らず、今回初めて見たのですが、
浮世絵のように描かれた絵に外国語の本文がつけられていて、とてもエキゾチックです。
シリーズはJapanese Fairy Tale Series と名づけられ、第1巻の桃太郎から始まって、
花咲爺さんや分福茶釜、長編竹取物語などよく知られた話を網羅していました。

日本残像チラシ

江戸時代には挿し絵入りの絵草紙という本がありました。
子供向けの昔話などが収められたものから大人向けの娯楽作品まで、
赤本、青本、黄表紙など、主に表紙の色でジャンル分けされていました。
その赤本の流れを汲んだのが、明治時代に出版されたこの「ちりめん本」。
和紙をちりめんのようにシワ加工した和綴じの本です。
復元されたものを触ってみると、和紙の丈夫さを保ちつつも、
布のようにくるくる丸めてしまえる柔らかさが非常に心地よいものでした。
これは外国人のみなさんにはよいお土産だっただろうなあと思います。
布のようなのに実は紙でできている不思議な本に描かれた、異国情緒たっぷりな絵と物語。
当時の日本の文化技術がこの小さな世界にぎゅっと閉じ込められていて、1冊1冊が本当に美しい。
まさしくファンタジーの世界を感じます。
お話の翻訳にはヘボン式のヘボンや小泉八雲があたっていますが、
翻訳はさぞかし難しかろうと思われます。
どんぶらことか、なんて訳すんでしょうねえ。
ところでこのちりめん本は、最初に普通の和紙に文と絵を刷り込んでから、
しわを入れて5~8割のサイズに縮めるのだそうですが、
縦横斜めと完璧な比率で縮める(縮小する)技術は伝わっていないんだそうですよ!
これが伝わっていればものすごい技術の伝承になったはずとありました。
それにしても、なぜ普通の和紙を綴じずに、わざわざちりめん状にしたのでしょうね。
もう一度手にとって、ゆっくり読んでみたいものです。

放送大学付属図書館 ちりめん本
関西大学図書館 電子展示室 ちりめん本

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