「過ぎる十七の春」 小野不由美 著

随分昔に読んだ作品ですが、ちょっと気になったことがあったので押入れから出してきて再読。
便宜上ミステリーに分類しちゃいましたけど、ジャンルはホラーだったと思います。
でも、ホラー小説ではないと私は感じてますが。

過ぎる十七の春 (講談社X文庫―ホワイトハート)過ぎる十七の春 (講談社X文庫―ホワイトハート)
(1995/03/28)
小野 不由美

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人間、何が一番怖いのかと考えると、やはりそれは「人間」なのではないでしょうか。
幽霊や物怪よりも、絶対に人間のほうが恐ろしい。
人間が人間の形をしていながら別な「何か」に変化したとき、
それは人間にとって最も恐ろしいものになる気がします。

この作品にはもちろんホラーとしての、人間対非人間という怖さもありますが、
それ以上に人間対人間の恐ろしさを描いていると言えます。
思えば同じ小野先生の「屍鬼」も似たようなテーマでした。
ホラーと思って読むと肩透かしを食らうかもしれません。
作品が描こうとしているのは人間の深く濃い情念なので、ホラーとしての斬新な展開はないです。
ティーンズ向けだからなのかな?
しかし、小野先生の筆が紡ぎ出すひたすら美しい情景が、より恐怖心を煽り、
さらには悲しみを倍増させていて、その表現力に圧倒されてしまいました。
人間の恐ろしさを刻みつつも、どこか救いのあるストーリー。
地味ですが、サクッと読めて余韻が味わえる作品でした。

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