新選組! 第43回 (補筆)

「決戦、油小路」

今回は脚本の三谷さんが、登場人物すべてをいかに愛しているかを、肌で感じました。
先の武田観柳斎の死は、「虫けらのように死んでもらう」はずだったのが、
もっといい奴だったところを見せたいという風に変わりました。
それと同じように、伊東甲子太郎もただの嫌味な奴では死なせられなかったのでしょうか。
油小路の決闘は、史実でいくと新選組の仕組んだことだといいます。
局長の妾宅へ伊東を呼び出し、酩酊したところを暗殺する。
その遺体で仲間の御陵衛士をおびき寄せ、伊東派を一気に殲滅しようと企んだ。
しかしドラマでは、あくまで若い隊士の暴走の結果であり、
それを土方副長が最大限に利用したというようになっています。
近藤局長と一対一で話し合った今日まで、伊東先生は気持ちを抑えていた。
伊東役の谷原さんが「伊東のセリフは9割が本音ではない」と語っておられるように、
近藤局長の命懸けの話に触れて、初めて本音を出すことができたのでしょう。
岩倉卿や薩長にばかにされ、屈辱を味わった伊東先生も、
あのとききっと、己の進むべき道、信じるべき道に希望と確信を抱いたと思うのです。
だからこそ、局長の妾宅からの帰り道、あれだけ晴れ晴れとした顔をしていた。
つまり、局長と伊東先生を和解させるということは、
巷でよく言われている近藤美化の一つと言うよりも、
伊東先生をただの悪役にできなかった三谷さんの愛情の現われだと思いました。

そして平助。
いつか新選組と剣を交える日が来るかもしれないことを自覚していたのは、
平助と沖田くんの二人だけだったのではないでしょうか。
「あなたたちが思っているほど子供じゃないんだ」
そう言った沖田くん。
伊東先生と共に隊を離れる平助と語り合ったからこそ、
そして隊幹部の間では、同じ子ども扱いされてきた同志だからこそ、
分かり合えるものがあったのだと思うのです。
油小路で覚悟を決め、新選組に正面からぶつかっていく姿は、
清々しくまっすぐ生きてきた平助の生き様そのものでした。

「また一人、逝ってしまった…」
源さんの涙をこらえた声が、胸を締め付けました。

***********
<11月1日追記>
一日たって冷静になったら、忘れていたことがありました。
それは、土方副長の「御陵衛士と決着をつける」という案に関してです。
局長は、暗殺をたくらむ伊東先生と話し合うという方法を取りました。
その近藤さんならば、遺体を囮に仲間を待ち伏せるなどという方法は、
絶対に許さなかったのではないかと思うのです。
というか、近藤伊東会談→油小路の決戦という一連の動きが、
どうしても矛盾したものに見えてしまったのですね。
そこまでするべき理由が見当たらない。
これは、このドラマ特有の「カットシーンの多さ」ゆえなのか、
事実とドラマの整合性が保てなかった例なのか、
今回は役者がそれぞれにとても良かっただけに残念です。

0 Comments

Leave a comment