未来を感じるから……

先日TVで、人は未来を感じることができるからストレスがたまると言っていました。
確かに未来を感じなければ、不安も心配も生じません。
どうすればいいんだろう、ああしたらだめだろうか、なんて思い悩む必要もありません。

ここ数日、「うつ」というものについて考えています。
私自身この病に罹ったことがないので、実際にこの病をわかっていません。
特に「うつ」は人の気持ちに関わってくるだけに、
おそらく罹った人にしかわからないことの多い病なのだろうと思います。

ドイツのサッカー選手、ローベルト・エンケが数日前に亡くなりました。
次のワールドカップへ向けて、ナショナルチームの正ゴールキーパーの候補に上がってました。
それなのに突然の死。
列車に飛び込んで、自らこの世を去ったとのことでした。
いくつかの報道を読むと、長年「うつ」と戦っていたことがわかります。
「うつ」になったらいろいろな場面で自殺に気をつけなければいけないといいますが、
エンケの場合は誰もこのような死を予測できなかったようです。
家族も、主治医も。
エンケはずっと調子がよくなったフリをしていたようで、それに疲れてしまったとありました。

私がエンケを知ったのは、多分初めて代表に召集された時(97年?)でした。
本当に若くて、いよいよ次世代のキーパーがと思ったところで、そのあと召集されなくなって、
クラブチームも海外を転々として(レンタル含む)、
サッカー生活は相当なプレッシャーになっていたようです。
しかし大きなきっかけは幼い娘の死だったのではとありました。
奥様の話によると、娘の死までにも「うつ」との戦いはあって、そのたびに克服してきたとのこと。
しかし娘を失ったことで、「愛ですべては成しえない」と悟ってしまったとか。
終わりのない暗い闇へ続く道が、うっすらと見えたような気がしました。

エンケ夫妻は養女を迎えますが、これがまた彼に不安を与えました。
この娘もいなくなってしまうのでは、と。
これが、まさに未来を感じることができるからこそのストレス……と思いました。
人間である以上、何の不安も心配も抱いていない人はいないですよね。
誰でも絶望する可能性があるし、誰でも「うつ」になり得る。
自分ももしかしていつか?という思いは、否定できません。

エンケの葬儀はサッカー・スタジアムで執り行われ、35,000人が見守ったそうです。
いくつかの写真を見ましたが、そこから見えるさまざまな表情に、
エンケ自身の人柄が垣間見えるような気がしました。
冥福を祈りつつ……。

4 Comments

kacchan  

未来を

ご冥福をお祈りします。

うつの方を励まして頑張らせるのは厳禁とか聞いたことがありますが…。

未来を感じるからこそ、期待するとか楽しみにして待つとか目標を立てて努力するとかもある気もしますが。

2009/11/17 (Tue) 08:56 | REPLY |   

木暮兼人  

自分の場合は・・・

純粋に鬱病とはいえないような症状も出ていましたから
エンケ選手の気持ちは良くわからない面もありますが
大事なひとを失うことは、未来に対する不安を抱くには
十分すぎる原因だと思います

もしかしたら、エンケ選手は、もともと自分の存在に
何かしらの不安を抱いてたタイプなのかもしれません
私自身がそうであったように。
娘さんを喪失したことで、それに拍車がかかった可能性はありますでしょうか。

娘さんを失ったのが自分のせいと思い込んだりとか・・・

たぶん、鬱を治すには根本的な発想の転換が
一番の特効薬だと思います
強迫神経症もそうだと感じますが
自分は○○でないと生きていけないとか
○○でなければ許されないとか
そんな思い込みから開放されれば新たな展望が抱けて
人間的にも大きくなられたかとは思います・・・

自分がするべきことをすれば、あとは野となれ山となれ
周囲の評価など気にするな!
と、誰か体現して示してあげれればよかったのかも

2009/11/17 (Tue) 09:27 | REPLY |   

カタリーナ  

■kacchanさん

うつに罹ってしまった知人がいるため、関連本を読んだりしましたが、
励ましや妙にポジティフな考えは厳禁とあります。
頑張れない自分、前向きになれない自分を自分が一番よくわかっていて、
それができないことをなおさら責めてしまうからだとか。
気分転換を勧めるのもNGだと読んだのですが、やはりどれも人によって違うようで、
OKの方もいらっしゃることを知りました。
結局人それぞれ事情の状況も違うわけで、対処の仕方も決定打があるわけではなく、
本当に患者さんにとっても周囲の人にとっても難しい病だと感じます。

未来を感じるからこその希望や期待は確かにありますね。
目標に向けて頑張って、達成感を味わったり、やり遂げた後の楽しみを味わったり。
でもそれができないのがうつの辛いところなのでしょうね……。

2009/11/18 (Wed) 19:34 | REPLY |   

カタリーナ  

■木暮兼人さん

> もしかしたら、エンケ選手は、もともと自分の存在に
> 何かしらの不安を抱いてたタイプなのかもしれません
サッカーでの悩みがそれだったかもしれません。
おそらく見込まれて海外のクラブに移籍したのだと思いますが、
実際はピッチに立つこともできず、ずっと冷遇されていた時期があったと読みました。
そのときのうつはかなり大変なものだったようです。
やっと最近ドイツのクラブチームに戻って活躍するようになりましたが、
代表チームのキーパーになるには所属のクラブチームが2流過ぎる……、
というような批判もあったようで、
彼自身の中で自分の能力、ポジション……、
そういったものに確かなものを見出せていなかったのかもしれないですね。
人柄がとても良かったようですから、その辺も影響あったのかもしれません。
お嬢さんは心臓の病で2歳で亡くなられたそうです。
娘を救えなかったことで、自分を責めていたというのもあるかもしれませんね。

> 自分がするべきことをすれば、あとは野となれ山となれ
> 周囲の評価など気にするな!
そうですよね、そう考えられればいくらか楽になるのかと思います。
ただずっと「調子が良いフリをしていた」ことを思うと、
木暮さんが仰るように、「○○でなければ許されない」という思いが強かったのでしょうね。
考えれば考えるほど、切ないニュースです。

2009/11/18 (Wed) 19:44 | EDIT | REPLY |   

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