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『関東戦国史と御館の乱 ~上杉景虎・敗北の歴史的意味とは?』 伊東潤/乃至政彦 著 

久しぶりに新書を読みましたが、随分読みやすくなりましたね。
たまたま著者のおふたりの文体がそうなのか、
最近の若手研究者のみなさんにそういう傾向があるのかわかりませんが、
従来の遅々として読み進まない本、ではありませんでした。



さてこちら。
タイトル通り、上杉謙信の後継を争った「御館の乱」の考察です。
謙信の外交と、当時重要な関係にあった関東地方の状況を読み解きつつ、
御館の乱最大の謎、「謙信は誰を後継と定めていたのか」に切り込みます。
結論から言えば、本書は謙信の後継は「道満丸」、つまり三郎くんの息子だったとしています。
ありそうでなかった、新解釈ですね。
これまでは、
三郎くん後継者説、景勝くん後継者説、2人後継者説、未設定説、
この4つで論じられてきました。
道満丸は三郎くんの息子であり、景勝くんにとっては甥っ子にあたります。
謙信にとっては姪っ子(景勝くんの姉もしくは妹)の子どもですから、
要するに全員と血縁関係があるわけで、「一番角が立たなさそうな」人選ではあります。

本書は私が長らく疑問に思っていた2点に明確な回答を与えてくれました。
ひとつは、幼少期に謙信の養子となった景勝くんが実家に戻っていた時期があり、
それが結構長期だったのはなぜなのか
、という点です。
これは、一時謙信の後継として養子になったものの、
実家である上田長尾家の跡継ぎがいなくなったために当主となるべく戻された、としていました。
これには納得です。
これなら長期にわたって実家にいたことも、上田長尾の兵を率いて出兵していたことも、説明がつきます。
そこで謙信は、関東北条との和睦の証として送られてきた人質=三郎くんを、
人質としてではなく、自身の後継として迎えることにします。
謙信には実子がいませんから、姪に当たる景勝くんの姉(妹)を養女にし、
三郎くんをその婿に迎えるという手段を取りました。
関東との間に平穏を保つためには、当時取りうるべき最良の方法だったのでしょう。
ところがこの北条との同盟状態はあっけなく崩れます。
その結果、三郎くんを後継として置くことはできなくなりました。
そこで景勝くんが再度、謙信のもとに呼ばれるわけです。
こうしてふたりの養子が立ち並ぶことになってしまいました。
当時すでに道満丸は生まれていたわけですが、当然まだ幼子です。
そこで謙信は道満丸を正当な後継とする上で、景勝くんを中継ぎ(陣代)としたわけですね。

もうひとつ疑問に思っていたことは、謙信が死去してから御館の乱勃発まで、
なぜ1ヶ月以上も時間が経過しているのか
、という点です。
従来の話では、謙信が亡くなった直後に景勝くんが実城(本丸)を奪取したとされてきました。
武器やお金も押さえるしたたかさだったというように書かれています。
だとすれば、初めから景勝くんは三郎くんと事を構える気満々だったわけで、
なぜその後ひと月以上も何もせずに手をこまねいていたのでしょうか?
ところが本書では、景勝くんは予定通り実城に入ったのであり、そこに混乱はなかったとしています。
要するに、謙信亡き後は景勝くんが家中をまとめることは皆に認められていた、というわけです。
それであれば乱が起きるまでひと月以上経過していてもおかしくはないですし、
当初景勝派だった人たちが乱勃発に際して三郎くん側に寝返っていったのもわかります。
ふたりが争うことになった原因は割愛しますが、
謙信は景勝くんを陣代として道満丸を次期に指名し、
家中もそのつもりでいたところ、予期せぬ事案により乱に発展した
というのが、
本書の見解であろうかと思います。

「道満丸が後継者であれば全員満足するだろう」と、本書はまとめています。
が、しかし。
果たしてそうでしょうか?
この人事に景勝くんが納得するでしょうか?
三郎くんは家中でのポジションは下げられたかもしれませんが、隠居すらしていないのです。
後継者の父として、いつなんどきどんな行動を起こすかもわかりません。
三郎くんにしても、義弟に息子を預けることには獏とした不安がつきまとったはずです。
これらを払拭できるだけの論は、ここでは提示されていませんでした。
さらに本書では、謙信は景勝くんが陣代だからこそ妻を娶らせなかった、とも述べています。
景勝くんに嫡男でも生まれたら、新たな紛争の火種になるからです。
果たしてこれに、上田長尾の実家が黙っているでしょうか?
陣代ということは、私の認識が間違っていなければ、
景勝くんの本来の地位は上田長尾家の当主であるはずです。
その当主に実子がいないなど、これまた上杉家と同じ問題を抱えよということでしょうか?

こうして考えてみると、後継者道満丸説はありえそうではあるのですが、
本書だけでは個人的に、「まるっと納得」というわけにはいきませんでした。
景勝くんが御館の乱まで嫁を取らなかった点については、
その立場が二転三転したことと、謙信の外交政策がコロコロ変わったことにより、
相手選びがままならなかったからというのはないでしょうか。
結婚が政治である以上、より有効な使いみちを考えなければならないわけで、
実子のいない謙信としては、
血縁関係にある景勝くんの嫁取りには慎重だったとも考えらるように思います。
とはいえ、本書は説得力もあり、なおかつ展開も非常に面白く、
これをさらに裏付ける史料の登場が待たれます。
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[ 2016/03/16 01:25 ] 上杉氏(史料・資料) | TB(0) | CM(0)


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